１８００年代初頭にフック･メーカーとして当時の世界的釣具生産地の英国・レデッチに創業したオルコックはハーデイ、ファーロー、フォスター、オッデン・スミス等と同じく多くのロッドやリールのメーカーとして知られた英国を代表する釣具総合メーカーの一つでした。１９６３年ＪＷヤングと一緒になり、１９６５年にはアメリカのシェークスピアーに買われて、残念ながら伝統あるオルコックの名前はなくなってしまいました。このワイド・スプール・サーモン・リールはJWヤングで作られてＯＥＭモデルとして合併の前後に製造されたと推測されます。

ＪＷヤング・リールは古い時代のイギリス製品らしい武骨な作りが耐久性の高さを生み出しています。現在でもヤング・リールは世界中のフライ・フィッシャマンに手ごろな価格の常用するリールとして愛用されています。かなり大量に製造されたヤング・リールですがこの３−3/4”ワイド・スプールは近年中々入手が難しくなってきています。４インチほど外径が大きくないのですが、ワイド・スプール・モデルなので＃８ラインに適したハンデイなダブル・ハンド用・リールとして人気の高いサイズです。手ごろな価格のサーモン・リールとしては安心してご使用になれるモデルです。

全体に凹みや曲がりなどの大きな瑕疵は見られません。リールとしては良好な状態です。リール本体の外径約９２ｍｍ、スプールの内幅約２２．５ｍｍ、ラインは＃７〜８程度に適したサイズです。リールの重量は２６０グラム。

スプールの塗料の仕上げが一般的なタイプと異なり、艶消しの毛玉状の皺が付いた模様（ボブル・フィニッシュと呼ばれているようですが）になっています。このギルモアはスプールに穴が開いていないハーデイ・パーフェクトと同じようなソリッドの仕様でアンテイーク愛好家には人気の高いデザインの一つです。

このリールのドラッグは古い時代の英国リールらしくシンプルなクリック・タイプで強弱の調整は出来ません。このリールは当店で右巻きに直してありますが、クリックを裏返す事で左巻きにも変更が出来ます。当店お問い合わせ番号ＳＢ５２６。グレード 　 ￥１９，８００（税別￥１８，０００）

古いオイルの汚れを落とし、回転部に新しい油を挿入しあります。

ネジ、スプリング、タング等の摩耗やゆるみは見られません。

尚、左画像のリール内部の右下の細長いプレートが簡便なドラック機構になりますが（他のリールでも取り付けられていますが）殆ど効果はありません。プレート先端部に小さな突起をつけてブレーキを掛けるのですが、摩耗している事や力が弱い等からクリック程の効果は認められません。このモデルも摩耗している事もありクリックだけがドラッグになっています。

英国のオーナーが右巻きで使用したらしく、フレームの一か所にラインの出し入れで擦れた為に出来たと思われる小さな凹凸がフレームのバーに見られます。当店でも古いライン・ガードの無いハーデイ・パーフェクトでしばしば目にするバーに付いた凹凸です。

尚、今後の使用に支障はありません。もし気になるような場合には上部のフレーム（左画像の下のバーから）からラインを通すことが出来ます。

この画像からスプールの幅が約２２ｍｍのワイド・スプール・タイプであることがお分かりいただけると思います。

上部でご説明したドラッグとこれらの点を考慮して人気の高い小型ワイド・スプール・タイプながらかなり安価な価格に設定されています。尚、当店で右巻きに設定してあるドラッグ等も含めて使用上支障はありません。

ドラッグ調整は画像左下の小さなネジ状のつまみを回すことで行うようですが、殆どドラッグ強くすることはできないようです（上記の説明）。クリックだけのドラッグとお考え下さい。

フットの曲りや取り付け部分の緩みはありません。フット・サイズは約６８ｘ１４．９ｍｍです。