フォスターは１８３３年から１９６０年代まで操業をしていた英国を代表する良質なフライ用品のメーカーとして、ハーデイに匹敵する高い評価を得ていました。現在でもその良心的な作りが特徴のフォスターのロッドは、オークションでも人気の高いメーカーの一つです。残念な事に１９６０年代にその仕事を閉じてしまいました。幾多のパテントを有し優れたフライ用品を作り出したイギリスの名門メーカー、今でもそのアクションやデザインを好まれる方が少なくありません。

このグリーン・ハート・ロッドは豪華な造りから１８００年代終わりから１９００年代初めのモデルと推測されます。 実際の長さは９‘９“、古い時代の英国のロッドにはこのモデルのようにテイップがかなり短いモデルがあります。又表示が９’６”だとすると若干伸びている例が一般的です。このロッドが９‘６“で３”伸びている場合も考えられますが、断定はできませんが、本来は１０’であったものが３“ショートしたと考える方が合理的だと思われます。実際の使用に於いてこのショートによるアクション等に格別の違和感は感じないでしょう。グリーン・ハート独特の滑らかでデリケートなアクションをお楽しみいただけます。価格はこのような推定に基づいてかなりお買い得な価格に設定されています。

ロッド重量は約２２０グラム、９フィート程度のバンブーに慣れた方にはシングルでの使用には全く問題のない軽いロッドです。古い時代のブラス製リングが付いた約３０ｃｍの一体式柾目コルクの下端部に約４ｃｍ程のスペースがあるのでスイッチ・ロッド等のツー・ハンド・ロッドとしても使用できます。

グリップ上端部の外径は約１０．１ｍｍ、トップ・ガイド下の外径は約３．４８ｍｍです。 一部レストアーが行われていますが、オリジナル性を保ったかなり良好な状態です。これからも長くご愛用できる状態です。グリーン・ハートなのでかなり柔らかくラインは＃４〜５がメインで＃６もご使用になれるでしょう。渓流でのヤマメ釣りから本流での釣りまで多目的にお楽しみいただける貴重なグリーン・ハート・ロッドです。

ロッド全体が細いワイヤーで網目状に巻かれて補強されている大変珍しい豪華な仕様の上、メーカーがフォスターであることからグリーン・ハート・ロッド愛好の方にお勧めのモデルです。

オリジナル布ケース付き（ロゴは取れています）。 当店お問い合わせ番号SA８３４。グレードは \３１，３２０（税別\２９，０００）

 

古い時代のデラックスなロッドらしく柾目コルクが付いています。微小な２か所の穴埋めを行ってあります。一か所は深さが浅く使用上支障がないことからそのままになっています。全体的なグリップの外観はかなり良好な状態です。

１００年以上前のロッドとしてはかなり綺麗な状態でしたので今後も長くご使用が可能と思われます。テイップのオス・フェルールの再接着と巻き直しを行いました。非常に手の込んだ金属（素材は不明ですが全く錆が出ていません）の網目状のラッピングが解けないようにテイップのオス・フェルール再接着時にその上部の約４ｍｍ幅を巻き止めました。他のレストアーに付いては各部の説明を御高覧ください。

古い時代の豪華な造りらしくブラス製のパーツ類が多用されています。バット・エンドはウッド製、キャップにはフォスターの文字が彫り込まれています。

他のフェルールはスパイク付きです。

塗装面の剥離はほとんど見られませんが３か所ほどの小さな部分の防水上塗りを行いました。

４本のフラット・ワイヤーによる編み込みの下に更にインター・ミデイエット・ラップが施されています。

ブランクやスレッドの塗膜にひび割れなどは見られませんでしたが、今後の使用を考慮して各ラッピング部分の防水上塗りを行いました。テイップ・セクションのブランク・カラーが焦げ茶色になっているのは火を通すフレーミング加工の可能性が考えられます。４本のフラット・ワイヤーで補強された美しい模様には驚かされます。デザイン段階から考慮されている為かアクションや目方に影響は感じられません。

トップ・ガイドがメノウなので、ストリッピング・ガイドが金属であることからレストアーの可能性を考え検証しましたが、ラッピングが巻き直された様子がありませんでした。スネークとこのストリッピング・ガイドは同色の薄いゴールド・カラーで揃えているように見えます。検証後当店で全てのラッピング部は防水上塗りを行いました。

フェルール上端部の補強巻きは巻直しを行いました。トップ・ガイドはオレンジのメノウのが付いています。バットとミドルのメス・フェルールとトップ・ガイドは同色のスレッドで巻き直しを行い塗装してあります。

フェルール部分の差し込みにがたつき等は見られません、確りと固定されます。