1900年代・フォスター・バンブー・ ラテイス仕様 8’9”#4〜5 メール
   
フォスターは1833年から1960年代まで操業をしていた良質なフライ用品のメーカーとして、ハーデイに匹敵する高い評価を得ていました。現在でもその良心的な作りが特徴のフォスターのロッドは、オークションでもアンテイークに詳しい人達に人気の高いメーカーの一つです。残念な事に1960年代にその仕事を閉じてしまいました。幾多のパテントを有し優れたフライ用品を作り出したイギリスの名門メーカー、今でもそのアクションやデザインを好まれる方が少なくありません。

グーグル・マップでかってフォスターのあった場所をご覧になれます。地図を拡大していただくと通りにはアンテイーク・ショップなどが見られます。Hamilton Photographic と言う白いビルがフォスターのあった場所と思われます。

このモデルはまさに手間暇をかけて優れたロッドを作ると言う見本のようなモデルです。”ラテイイス”仕様と言われるフォスターのパテントで、細いフラットワイヤーで網目状にバンブー・ブランクの表面を巻いて強度とパワーを生み出すアイデアです。

この手の込んだ網目状のテインセルは一度外すと改修は不能な程複雑にくみあわされています。アクションは非常にデリケートで、トルクが高い感じがします。金属テインセルを巻き津賀田違和感は全く感じないと思います。100年以上経た現在でも輝きを失わない素材はニッケル・シルバーや錫等の合金と思われますが、フォスターの目論見は現在に至ると生きています。

このラテイス仕様は生産量が少な製か大変珍しく滅多にオークションに出てくることはありません。これを含めた豪華な造りやバンブーの接着面が丸い事等から1800年代終わりから1900年代初めのモデルと推測されます。 実際の長さは8‘9“、古い時代の英国のロッドにはこのモデルのようにテイップがかなり短いモデルが多くあります。又ロッドの本来の表示が8’6”だとすると若干伸びている例が一般的です。このロッドが8‘9“で3”伸びていると当店では推測していますが断定はできません。

但し、9’だとすると3”ショートしているという事になりますが、実際はテイップはバットより2”短いだけです、英国のロッドはテイップが短い特徴からも考えにくいと思われます。又、テイップ・セクションの先端部はショートしていません、ただ下端部が3cm巻き直されています。これは、フェルールのラッピング部分のスレッドが断裂して巻き直した折に、複雑な編み目のテインセルがほどけて収拾がつかずに(当店でも経験があります)これだけの長さを巻いて止めたと考えられます。スレッドの巻き方が素人の手によるものであることからも(当店で更に上巻きをして綺麗に直してあります)、この推測がかなりあっているのではないかと思っています。

以上の事やアクションに違和感のない事等から、本来の長さが8’6”で3”伸びている可能性が高いと推測しています。但し、テイップの下端部が破損した可能性もあるかもしれない事もご考慮ください。

ロッド重量は約210グラム、グリップ上端部の対面外径は約13mm、トップ・ガイド下の外径は約2.3mmです。グリップの全長は約19cm、古い時代のロッドの特徴であるシートが長く約15cmあります。ロッドのアクションは非常に繊細でバットから曲がります、日本のフライ・フィッシャマンのお好みに合ったモデルと言えます。渓流をメインに中流域でもご使用になれる万能モデルです。ラインは#4をメインに#3〜#5程度に対応できます。

ロッドの状態はかなり良好でガ取り付けられているパール類は全てオリジナルのものです。ロッド使用上の機能に問題は見られません、100年の年月から考えるとかなり良い状態のアンテイークと言えます。オリジナル布ケース付き(ロゴは取れています)。 当店お問い合わせ番号SA869。グレードは説明: http://www.sasanofly.com/antiqueimg/logo_antique/stars/3stars.gif 説明: http://www.sasanofly.com/img/zeikomi.gif\35,640(税別\33,000)

実施したレストアー100年以上前のロッドとしてはかなり綺麗な状態でしたので今後も長くご使用が可能と思われます。軽微な曲がり直しとラッピング部の防水上塗りを行いました。他のレストアーに付いては各部の説明を御高覧ください。

 

グリップに目立つような欠落や穴などは見られませんシートとの接続部に小さな欠けが見られますが使用上支障はありません。

シートは、当時のアンテイークには大変珍しいウッド・スペーサーのリング・タイプです。このロッドは非常に柔らかなモデルとしてデザインされたことが推測されます。コルクとウッドとの境目に1mm程の隙間が見られます。これはハーデイなどでもしばしば見られる事で、長い年月の間にウッドが収縮したことが原因です、使用上問題はありません。

テイップ・セクションのフェルールの上部約4cmが巻き直されていました。素人の作業だったので当店で上から巻いて塗装を施してあります。

フェルールはハーデイと同じロック・ファーストが使用されています。フェルールの差し込み部にがたつきは見られません。

古い時代の豪華な造りらしく手書きのロゴが彫られています。ロレットも手で彫られたものと思われます。

塗装面の剥離はほとんど見られません。インター・ミデイエット・ラップが施された上から4本のフラット・ワイヤーによる編み込が施されています。

ブランクやスレッドの塗膜にひび割れなどは見られませんでしたが、今後の使用を考慮して各ラッピング部分の防水上塗りを行いました。デザイン段階から考慮されている為かテインセルの編み目巻きがアクションや目方への影響は感じられません。

ストリッピングは綺麗なオレンジのメノウが付いています。ニッケルのフレームが僅かに手間に傾いていますが使用に支障はありません。他のガイドはハーデイのブリッジ・リング・タイプです。理由は不明ですが、ハーデイと同じパーツが多く使用されています。

トップ・ガイドは白いメノウのが付いています。ハーデイーと同じロック・ファースト・フェルール部分の差し込みにがたつき等は見られません、確りと固定されます。


03/10/2018
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