1928年ハーデイ・デラックス・9‘6”#4〜5メール

多くのハーデイ・ロッド・シリーズの中でゴールド・メダルと共に人気の高いデラックス、所謂“ベーリー・ライト・トラウト・ロッド”(ハーデイ・アングラーズ・ガイド1928年版参照ください)と言われるハーデイ・ロッド中最もデリケートなアクションのシリーズです。

9’6”は一見長そうに感じますが、ロッドの軽さと張りがシャープさと軽さを生み出しているのでバンブー・ロッドに慣れた方には全く苦にならないと思います。渓流から中流域まで幅広く使える軽快なロッド。デラックス・シリーズはロング・ロッドを使い慣れた方には一日振っても気にならない目方と言われています。現代のアクションに極めて似ているので、初めてアンテイーク・バンブー・ロッドをお使いの方でも違和感なくキャステイングを楽しめるロッドです。特に1920年代はこれらの特徴が濃厚に生み出されるカルカッタ・ケーンが使用されている可能性がかなり高いので(確実ではありません)人気の高いモデルと言えます。それだけに大変貴重なモデルになります。

ラインは#4をメインに#3〜#5までに適応する出来るでしょう。渓流のドライをメインにウエットにも対応できるロッドになります。ロッド重量約170グラム、グリップの長さは約17cm。グリップ上端部のブランク対面外径は約10mm、トップ・ガイド下は約1.8mmです。バット部分がスエル・バット気味の仕様になっています。

3ピース、1テイップ。オリジナル布ケース付ですがハーデイのロゴ・マークが取れており紐を着け直したり一部が切れています。保管の問題に原因があったと推測されますが、テイップの先端部に曲がりが出ていました。慎重に修正を行ってありますが、それらを勘案してコレクターに人気の高い1930年代以前のデラックスながらかなりお買い得な価格になっています。当店お問い合わせ番号 SA900。グレードは¥42,120(税別¥39,000)

グリップの状態はかなり良好で大きな欠落や穴などは見られません。当時のコルクやバンブー素材のグレードの高さは知られていますがそのお陰だと思われます。

ロッドの機能関係するパーツや基本的な部分に問題はありませんが、経年によるスレッドの劣化が見られたためにスレッドの巻き直しと全体の塗装を行っています(ほぼフル・レストアーに近い作業)。ミドルの雄フェルールは脱着して巻き直しを行っています。テイップの曲がり直し、ガイドの錆び取り等も行いました。

ほぼフル・レストアーに近い作業を行いましたのでテストを行いました。ラインを通して約15m程の距離のファルス・キャストを30回行った後ロッドに若干の負荷を掛けてみました。格別の支障は出ませんでした。

ウッド・スペーサーが当時の者としては大変ユニークで美しい模様です。デラックスな作りを示す印である隙間を開けたラッピングが残っています。
 

この時代のパーツ類にはアンテイークらしさが強く出ています。アップ・ロック・シートはしっかりとリールを固定できます。

左写真の真ん中のミドル・オス・フェルールは脱着して巻き直してあります。

バンブー素材やガイドなどは特別な瑕疵は見られませんが経年によるスレッドの断裂が見られました。インターミディエート・ラップの30%程、ガイドとフェルールの殆どのラッピングを巻き直してあります。ロッド本体の防水上塗りも行っています。

軽快なロッドのアクションに適したサクション・ジョイントが付いています。その差し込み具合はかなり快適な間隔で確りと泊まります。テイップ部分は曲がり直しを行ってありますが、使用上支障がないこともあり余り無理な修正は行っていません。一般的なアンテイーク・ロッドと同程度の微小な曲がりが残っているかもしれません。

瑕疵としてミドルのメス・フェルール上端部のリングにひび割れが見られます。接着剤でしっかり固定してあり、一般的にリングが無くても強度に左程大きな影響はでないので使用上支障はありません。

1928年ハーデイ・アングラーズ・ガイド

1928年生のこのロッドがアングラーズ・ガイドに掲載されています。

当時8’から製作されていたことが分かります。

最下段にイリノイ州とウエストバージニア州のフライ・マンの感想文が掲載されています。デラックスは、ヨーロッパと異なる繊細なアクションのアメリカ向けを意識してデザインされてモデルと言われていますが、その証のように見えます。


05/03/2020
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