”スキナー”と言うロッド・メーカーの詳細は不明ですが、スネーク・ガイドが英国スタイルの左巻きである事から英国又はその関係する国でないかと最初は推定しました。7ピースと言うバンブー・パック・ロッドの仕様は英国製としては極めて珍しい意匠ですが、所謂日本製の土産物用や輸出用として製造された類似のバンブー・ロッドでない事はフェルールやパーツ類からも間違いないと思われます。

Skinners　D.V.と言うメーカー又は販売店が１８９０年代ニューヨークに存在していたことを、この同名のアンテイーク・ルアーから知りました。その名前は１９５０年代にも残っていたのでかなり長期間営業していたと思われます。もしそうだとすると、多分このニューヨークの釣具の販売会社と思われるスキナーが特別注文で製造した米国製ロッドと推定出来ます。年代は１９５０年代ではないかと推測しています。

ガイドは英国スタイルですが、シルバー・メッキされたフェルールやシート、アクションからはアメリカのアンテイーク・ロッドの雰囲気が強く残っていることからかなりの確率で米国・skinner　D.V.製ロッドではないかと思われます。もしかするとかなり古い時代のモデルの可能性が考えられます。以上は当店の推測なので間違っている場合もある事をご考慮ください。

7フィートの7本継と６’３”6本継の仕様で仕舞い込み寸法は約３２．５ｃｍ、エクストラ・テイップが付いている大変珍しいバンブー・ロッドです。テイップは通常のアクションのものと少しヘビーなアクションの2本の組み合わせになっている事からも本格的なロッドとして作られている事が推定できます。よりヘビーなテイップは、7本継の先端と2番を取り外して、3番に差し込み6本継となることから全長が約6フィート3インチになります。ライン・ナンバーも＃６程度に適しています。

渓流用の極めてデリケートなフライ・ロッドとしてのアクションが7本継と言う制約があるデザインからは極めて上手に作られています。日本の渓流のヤマメ釣りに最適の＃４〜５前後のライン（＃３にも適しています）用のデリケートなアクションは実用のロッドとしては十分な出来上がりになっています。加えて6本継として使用すると＃６（＃７にも）ラインに適応できると思われるので、バンブー・トラベル・ロッドとしての多目的な使用に対応できるようなく工夫が施されています。

＊全てのフェルールの差し込み状態に緩みやがたつきがなく確りと差し込み固定する事が出来ます。各セクションが短い為に手で確りと持てない部位もあり、様子が分かるまでは余りきつく差しまずに慎重にご使用ください。当店では確り際込んでテストを行ってありますので慣れてくると力の具合が分かると思います。

破損やショート等が見られないロッドの基本的な機能を保った良好な状態です。ただ経年と英国のオーナー（このロッドは英国で買い付けました）がかなり愛用したようで（当然トラウトを対象としたと思われます）かなり曲がりが出ていました。スネーク・ガイド1個とストリッピングが1個取れていました。これらを取り付け、大きな曲がりを直してあります。インター・ミデイット部のスレッドの幾つかの断裂があったので巻き直しを行いました。全体の防水塗装も行ってあります。

7本継用のロッド重量150グラム、仕舞い込み寸法３３ｃｍ、グリップの全長は約１３ｃｍ。グリップ上端部の対面外径約８．４ｍｍ、トップ・ガイド下の対面外径は7本継用が２．５ｍｍ、6本継用が３ｍｍです。

ロッドの基本的状態は状態はかなり良好です。バンブーのトラベル・ロッドをお探しのバンブー・ロッドを使い慣れた方にお勧めのモデルです。グラファイトのパック・ロッドと異なり、バンブー独特のアクション、曲がり、使い方に慎重な使い方が求められることからかなりお買い得な価格になっています。オリジナル布ケース付。当店お問い合わせ番号SA９２９。グレードは \２７，５００（税別\２５，０００）

ロッドにはショートや破損等の大きな瑕疵は見られません。ロッドとしての基本的な機能を、トラベル・ロッドと言うリジナル性を高いグレードで保ったアンテイークです。一部のスレッドの断裂を巻き直してあります。ストリッピング・ガイドはアンテイークのオレンジ・メノウガイドを取り付けました。１本のテイップのブラック・スネークが破損していたので新しいモデルを（左巻きは無いので右巻きを）取り付けてあります。2か所のフェルールの脱着と６ピース用テイップのオス・フェルール差し込みの調整を行いました。

トラウトを釣ったと思われますが、ロッドの２番目と３番目がかなり曲がりっていました。当店で曲がりを直した後DT6のラインを付けて１００回キャステイングのテストを行いましたが、それが原因と思われる大きな曲がりは見られませんでした。

スレッドの巻き直し、全体の防水塗装、再度の曲がり直しを行ってから再度100回ラインをつけてキャステイングを行いましたがこの動作でも曲がりは認められませんでした。ただ、ロッドはこれからも長い年月ご愛用頂けるグレードなので、簡単な曲がり直しがおできになると尚楽しめると思われます。ご購入される場合その方法が分からない場合はお尋ねください。

シルバー・カラーが輝きを保っている古い時代のアメリカ製シートとフェルール。シートにはバイカウント等の特別太いフットのリールを除いてハーデイのリールが固定できます（上の画像はフライ・ウエイトです）。多分難しいと思っていたフルーガーでも、古い時代のアメリカ製モデルは固定できました。

この事もアメリカ製ロッドではないかと言う推定の根拠になっています。フェールーるにはがたつきなどは見られず確りと固定できます。

Skinnersのロゴは殆ど残っています。

多くのラッピング部分はオリジナルの状態を保っています。ストリッピングは欠落してケースの中にも見当たらなかったので古いオレンジ・メノウ・ガイドを取り付けました。当店の推測ではかなり古い時代ではないかと推測しているのでその雰囲気に合わせました。

全てのフェルールの差し込み具合は良好でがたつきなどは見られません。

テイップ・セクションは7本継用と6本継用の2つのモデルが揃っています。