1930年・ファーロー 7‘・キャステイング・ロッドメール

1840年ロンドンで創業したハーデイと並ぶ高いグレードの各種フィッシィング・タックルを世に送り出してきたファーローのバンブー・キャステイング・ロッドです。豪華なオレンジ・メノウ・ガイドや重厚な作りなどから1900年代初めのモデルと推定しています。

 

ファーローのカタログ等の資料が少ない事からこのモデルの詳細は不明ですので、ハーデイ・アングラーズ・ガイドから仕様等を類推させて頂きました。当時はスピンニング・ロッドと呼ばれたものも後年のような大口径のガイドがセットされてはいませんでしたのでこのロッドもスピニングと呼ぶ場合もあると思われます。

ハーデイ・アングラーズ・ガイド1934年版には左にスピンニング、右にシングル・ハンド・ベイト・キャステイング・ロッドの2タイプが掲載されています。当店の推測ではシングル・ハンドのスピニング・ロッドとして主に使われロッドながら状況に応じて時にはベイト・キャステイングにも使用されたロッドと思われます。現在もアンテイーク・ロッドに慣れた方なら当時と同じくスピニングをメインにベイト・キャステイングにもご使用になれるモデルです。

アクションは8グラムから20グラム程度のルアーまで投げられるメデイアム・アクションで本流や水見でのレインボーや大型ヤマメに適したロッドと思われます。バンブー・ロッドは使い慣れれば汎用性の高いロッドなのでかなり広範囲のフィッシング・シーンでお楽しみいただけるモデルです。

ロッド重量190グラム、ラバー・エンドまで含めたグリップの全長は約43cm・グリップ中心部分のコルク外径約22mm。グリップ上端部のロッドの対面外径約9mm、トップ・ガイド下は約3mm。

ロッドは手入れをしながらかなり丁寧に使用されたようでスレッドの断裂等が見られない古い時代のアンテイーク・バンブー・ロッドとして未だ現役の雰囲気が感じられます。バット・メス・フェルールのラッピングが英国で巻き直されている以外オリジナルの状態をかなり保ったモデルです。

ブラスのバット・キャップにはC.ファーローの文字が刻まれています。

布ケース付、ケースはオリジナルではありません。2ピース、1テップ。当店お問い合わせ番号SR86。 状態は¥19,800(税別¥18,000)

英国に於いて手入れをされながら丁寧に使用されていた様子なのでロッドの状態はアンテイーク・バンブー・としてはかなり良好です。当店では微小な曲がり直しを行っただけで、英国で塗装された塗装面以外はほゞオリジナルの状態を保っています。

古い時代の良質なコルクが使用された長いコルクグリップには欠落などが見られないかなり綺麗な状態を保っています。ブラスのパーツ類がアンテイークらしい重厚な雰囲気を醸し出しています。

手書きのロゴ・マークは殆ど消えています。

オス・フェルールにはデラックスなピン付きタイプが使用されています。パーツの素材に厚みがあるアンテイークらしい雰囲気のロッドです。

バットのオレンジ・メノウ部の外径約10mm(メタル部の外径約12m)・他の2個のメノウは外径約9mmと8mmが付いています。メノウの雰囲気に合致した重厚な金属部でカバーされたガイドがロッドの豪華な印象を醸し出しています。インター・ミデイエット部分を含めた全てのラッピング部がオリジナルの状態を保っている事は極めて珍しい事です(1〜2個所のインター・ミデイエット部分が巻き直されているかもしれません)、大切に愛用された様子が見えます。

トップ・ガイドはストリッピングと揃いのオレンジ・メノウが付いています。スピニングとしてはメノウの状態が大変良好です。フェルールの差し込みは確りしておりガタツキは見られません。フェルールは英国に於いて巻き直しが行われています。

各箇所の検証からこのロッドを使用したオーナーがかなり丁寧な使用であったことが推定できます。これからも長くご愛用頂ける本流、湖用ベイト&スピニング・ロッドです。

1934年ハーデイ・アングラーズ・ガイド等を参照すると、当時は左ページのスピニングでも大口径のガイドは使用されていない事が分かります。加えて長い両軸リールを使用するロッドもスピニングと呼んでいたことが分かります。

右ページのシングル・ハンド・ベイト・キャステイングがこのファーローの仕様の説明に近いようです。

 


02/11/2021
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